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僕は君たちに武器を配りたい

僕は君たちに武器を配りたい、瀧本哲史 著、講談社を読了した。
瀧本さんは2019年8月にお亡くなりになったことが報道されました。
ご冥福を祈りいたします。

僕は君たちに武器を配りたい

僕は君たちに武器を配りたい

内容

東京大学助手、コンサルティング会社マッキンゼーで勤務した経歴を持ち、投資家として活動しながら京都大学で学生に起業論を指導していた著者が、格差が広がる資本主義社会で戦い抜く武器を説いている。

高度経済成長期に信じられていた、偏差値の高い大学を卒業&大企業に入ることで一生安泰であった時代はとっくに終わっている。
世間で英語・IT・会計などの知識・スキルが就職に役立つとして推奨されているが、それらを持つ人間は数多く存在し、コモディティ化している。
コモディティ化している人間は一定水準を満たしていればビジネス上では誰をやとっても同じであるため、買いたたかれる。賃金は下がっていく一方である。

資本主義において生き残るタイプは大きく6つある。

  1. トレーダー
  2. エキスパード
  3. マーケター
  4. イノベーター
  5. リーダー
  6. インベスター

このうち、トレーダーとエキスパードはインターネットの普及や産業の変化のスピードが早くなっていることから生き残るのが難しくなっている。
ビジネスパーソンは残りの4つの顔を使い分けて働いていくことが望ましい。

ビジネスパーソンが働く会社を選ぶにも投資家的な考え方が生かせる。
成功している投資家は新聞やテレビなど一般に公開されている情報をそのまま鵜呑みにはしない。その情報はみんなが知ってしまった時点で価値がなく、そこに投資することはコモディティ化していることを意味するからだ。
投資家は、今ほとんど誰も注目していないが将来伸びてくる企業を探し、長期的な目線で投資する。ローリスクローリターンではなく、ハイリスクハイリターンの投資を分散的に行いリスクを抑える。
つまり、ビジネスパーソンは今注目されている業界ではなく、まだブームになっていない業界を探した方がよい。

自分の頭で考えない人間はリスクを背負わされてしまう。
一生サラリーマンの道を選ぶことは、ひとつの会社に自分の人生をすべて委託するということで、非常にハイリスクでありローリターンである。

投資家の考え方で世の中を見ることが、資本主義を生き残るための闘い方である。

感想

本書の中で説明されている投資家的な働き方は、自己研鑽の方向性を考える上でも重要だと感じた。
コモディティ化せずにスペシャリティになるには何を学び・経験すれば良いのかという視点で自分のキャリアを考えていきたい。
技術者という立場で活躍するためには、社内だけでなく社外においてもスペシャリティがある人材を目指したい。

投資家的に働く中で重要なことは
「きちんと自分の頭で考えること」
だと感じた。自分の頭で考えずに「誰かの支持にしたがっておけばよい」とい姿勢になってしまうことが最も良くない。

また、リーダーの適正について以下の記述があった。

日本人の多くは、謙虚ですばらしい人格を持ったリーダーを好むが、そういう人は実際にはリーダーにはなれないのである。歴史に名を残すレベルの企業を作ったようなリーダーというのは、みなある種の「狂気の人」であることが多いのだ。

リーダーの仕事は「ぶれずにチームの方向性を示すこと」だと聞いたことがある。周囲には流されず自分の頭で考えたことを譲らずに主張できる人がリーダーの適正があるのであろう。(自分にはリーダーの適正はなさそうだ)
クレイジーなリーダーのパーソナリティは幼少期のコンプレックスからきていることが多いそうである。本書の主旨とは異なるが、自分自身の幼少期のコンプレックスと現在のパーソナリティとの関係性についても気づきがあった。

そこまで大金が欲しいわけではないが、コモディティ化した働き方(低賃金長時間労働)では自分の理想的な人生を歩めない。資本主義の中で生きていくためにはスペシャリティをもてるように努力することが大切だろう。