JPのブログ

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FACTFULLUNESS (ファクトフルネス)

「FACTFULLNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナロスリング・ロンランド 著  上杉周作、関美和 訳 を読了した。

人間の思い込みの原因を10の本能であるとし、それぞれについて著者の経験も交えて詳しく説明している。
世間の思い込みに惑わされずに正しい判断ができるように、データを基に世界を正しく見ることを推奨している。

ハンス・ロスリングは医師、研究者、TEDスピーカーとして知られており、経験・知識・人脈の全てで高いレベルの方であったと思われる。
残念ながら2017年に他界され、生涯最後の年は本書の執筆に捧げたとのことである。
彼の生涯で得た貴重な洞察を本書という形で残していただけたことに感謝したい。

我々のモノの考え方は、メディアで放送されているから、とか、学校の先生が言っていたから、などが理由で形成されることも多い。
しかし、本書で紹介されている過大視本能や恐怖本能、ネガティブ本能により、必要以上に深刻に捉えてしまっている可能性がある。
データ(数字)を自分で見て判断することで上記のようなことは防ぐことができる。

一方で、すべてのデータを目に通すことは現実的には難しい。
よって、
     ・ 少なくとも自分の専門に関しては、データを集め、自分の頭で考えて判断するようにする。
     ・ メディアや人から聞いた情報には、人間の本能によるバイアスがかかっている場合があることを理解する。
ことが重要だと感じた。


「犯人捜し本能」の章からは、特定の人・組織に責任を押し付けることが役に立たないことを学んだ。
本書から二つの例を挙げる。
① 難民が密輸業者の用意した救命ボートでヨーロッパに向かう途中で命を落とした悲劇
  密輸業者のせいにすることは簡単であるが、その裏には難民が飛行機でヨーロッパに向かうことができなかった
  EUの制度上の問題があった。
② 製薬会社が富裕層に価値がある新薬ばかり開発し、途上国向けの既存の薬を浸透させることに力をいれていない。
  製薬会社の方針を決めているのは、社員や役員でなく製薬会社の株主であり、株主が利益を求める限り現実は変わらない。
誰か特定の人・組織を犯人するのではなくシステムの欠陥に目をむけることが問題解決の第一歩となる。


本書の訳者あとがきで

この本の教えが「世界の姿」だけではなく「自分の姿」をみせてくれる

という感想があった。私も全く同じ感想をもった。
自分の考え方・言動・判断が10の本能に引っ張られたものではないか、常に意識していたいと思う。