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「やりがいのある仕事」という幻想

”「やりがいのある仕事」という幻想” 森博嗣 著、朝日新書 を読了した。



”仕事が人生で一番大事なものである”、”仕事でたくさん稼いでいる人の価値が高い”などといった風潮に疑問を投げかけている。
会社役員などは仕事といったルールの中で立場が上なだけであって、価値が高いわけではない。
仕事上かかる責任は大きいが、その分高い給料をもらっているからトントンである。
人間の価値は他人には決められない。自分の理屈で自分が幸せだと納得できる人が価値が高いと言える。

多くの人は仕事にやりがいを見つけようとして悩んだり、仕事が楽しい、重要なことだと思い込もうとする。
しかし、仕事はあくまでお金を稼ぐ活動であり、お金を稼ぐことは簡単ではない。
全ての人が仕事にやりがいを感じ、心から夢中になるなんてことはないだろう。



私個人の感想として、新しい仕事に対する考え方に触れることができたと思う。
私もこの本を読む前は仕事の中に明確なやりがいを求めていたが、本当に心から腑に落ちるものは見つけられなかった。
そんな状態で仕事をしていると自分の中から勝手に不満が出てくるようになる。

究極的にはお金を稼ぐことが仕事の目的である。生活のため、またやりたいことをするために人間は仕事をしてお金を稼ぐ。
このように考えると上手くいかないことが当たり前だと思えるようになり、肩の力が抜けたと感じる。
少なくとも会社はお金を稼ぐことが目的なので、気がのらないことをしなければならない場面があるのは当たり前である。
好きなことではなく得意なことを仕事にするべきであるという意見も納得である。

もちろん仕事の時間を自分にとってより良いもの・価値のあるものするよう努力することとは大切だと思うし、
明確な目標・夢をもって現在就いている仕事に熱中している人は素敵だと思う。
私も仕事をしている中で、楽しい・嬉しいと思う瞬間も多々ある。

やりがいのようなものを探し続けてしまうのは、まだ夢中になれるものを見つけられていないからである。
もし見つけていれば今の仕事をしていながらでも既にやっているはずだからである。
夢中になれるものを見つけるためには、探しつづけることが大事である。
(スティージョブズも "Keep Looking. Don't Settle"と言っていた)

本を読んだり、人に会ったりする中で夢中になれるものが見つかるはずであり、
それが今やっている仕事につながることもあるだろうし、全く関係のないものであったりするだろう。