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誤解だらけの人工知能 ディープラーニングの限界と可能性

「誤解だらけの人工知能 ディープラーニングの限界と可能性」田中潤松本健太光文社新書を読了した.

<内容>
人工知能の専門家が現在の行き過ぎた人工知能ディープラーニングへの期待に警報をならしている.
その上で人工知能が発展し,我々の生活に浸透した未来について述べられている.
本書では20~30年後と想定している.

人工知能やロボットの技術の発展により,まず作業単位で自動化が行われる.
複数の作業が自動化されることで仕事全体が自動化される.複数の仕事が自動化されることで職業がなくなる.

職業が人工知能に置き換わることで,人間は暇になる.
そこで「信用」や「共感」が価値となる.現在でいうとインフルエンサーなどSNS上での発言や活動が注目を集めている人が「信用」「共感」があると言える.
将来は「人工知能を製造」する人と「自分の価値を提供」する人に分かれる.
このとき,貨幣経済が健在であると上記のどちらでもない人は生活できない.そこでベーシックインカムが必要になる.

<感想>
人工知能を知ったかぶりで語ったり,勝手に期待して勝手に低評価したりされる現状があることを理解できた.
(そして,必死に人工知能に取り組んでいる方々がそれを不愉快に思うことも)

人工知能は現在メディアで報じられているほど万能ではない.
一方で,ディープラーニングをはじめとする技術は私達の生活を大きく変える潜在能力があると思う.
これまで人間が行っていた作業・仕事を機械が自動化するのである.

作業が自動化され,より少ない時間で同じ価値と顧客に与えることができ,考えること・人に説明することに時間を費やすことができる.
例えばプラントエンジニアの場合,設計計算や資料作成にかかる時間が短縮され,顧客との合意や説明に時間を集中することができる.
(結果の説明には責任が伴うため,人間の代わりは人工知能にできない)
顧客との合意や説明するのは大人数はいらないため,大げさに言えばリードエンジニア一人で同じ仕事ができるようになる.
エンジニアとして「信用」がある人がこの役を務めることができる.この人は企業に所属している必要はなく,フリーランスでも構わない.
本書で将来は個人事業主が増えると述べられているのも,上のようなシナリオを想定しているからかもしれない.

今後数十年間でこのような未来に向かっていくのであれば,企業として今やるべきことは自動化である.
ディープラーニングを使わなくても自動化できる作業は多々ある.さらにディープラーニングを使うことで,自動化できる作業の幅は広がる.

人間個人としては、生活のために労働しなくてよくなれば、何をして生きたいか考える必要があると思う。

また「共感」が価値になるというのは前田裕二さんが本(”人生の勝算”や”メモの魔力”)でおっしゃられていたことと同じである.
人は「共感」に対してお金を払うことになり,人は自己表現により(会社に勤めなくても)お金が得られ,生活できるようになる.
もしベーシックインカムが導入され,「使い切り」のルールがあれば,この流れは加速すると思う.